読書感想文のつもりが自転車旅行記


何も書くことが思い浮かばないので、はてなブログを見ていたら、今週の「お題」が「読書感想文」なので、これで少し書いてみます。

 この夏、読んだ本は、「逃げ」という岩手県八幡平市で開催されたサイクルロードレースの本。岩手日報の読書欄で紹介されていたので、文庫本を買って読みました。

 自転車レースというと、ただバカみたいに全力でチャリンコ漕いでいるだけと思われれていますが、実は違うんですよね。

 駆け引きだったり、だましだったり、集団を支配して無言の圧力かけたり。自分の体力を常に計算して、残りのエネルギーをいかに効率よく使うか考えたり、、、。本当に、数時間のレースですが、心理的な競争でもあるわけです。

 そのあたりを、書いた本です。実在の人物が登場するので、自転車好きにはたまりません。「ええ?あの選手って、こんな苦労してたのか?」とか、少し驚きがあります。自転車好きはもちろん面白いのですが、自転車好きでなくても楽しめるエンターテイメントがあります。

  今夏は、この1冊だけだったです。(寂しいっすね。だんだん、バカになっていくような寂しさを感じます。)

 

 思い起こせば今年(2020年)は、今まで自転車を漕いできました。週末を使って、あっちこっちにソロ(単独)で行ってきました。

 主なライドは、(ライド=ride=自転車旅のこと)を書いてみます。順不同です。

 

 安比ライド (自宅~IGR赤坂田駅 48km 帰りはJR花輪線

 自宅から安比高原を超えて、安代町坂田駅まで。帰りは自転車をたたみIGR(岩手銀河鉄道)で帰った。途中、博多からツーリストおじさんと出会う。いろいろ教えてもらいながら、走った。博多のおじさんは、北海道の千歳を目指していた。その日は、鹿角市まで行くという。おじさんでもできるなら、俺でもできるかと思わされた旅。(注 実際は、おじさんよりも私の方が年上ですが。)

これだけ、2019年の晩秋。

 

ここから2020年2月から最近まで。

北上ライド(自宅~北上駅 70km 帰りは東北本線

 盛岡の自宅から北上駅まで4号線を70キロ位。4号線のコンビニをたどる旅。帰りは、自転車をたたんで、JR東北線で帰盛。

 帰りの電車では、こんなに体力に余裕があったのだから、次は絶対に盛岡から一関まで行こう!いつかやってやる!と決意をした日。(メラメラ)

 

沢内街道ライド(雫石町西和賀錦秋湖道の駅 47km 帰りは車)

 雫石町温泉病院から「ほっと湯田駅」までの沢内街道47km。ずっと沢内街道に憧れみたいなものがあって、県立図書館で「沢内街道」の本を借りてきて、文献調査をしまくり、Google Mapで自分でルートを手書きして、見所ポイントを30か所ぐらい印をつけておきました。

 コンビニなど1つもないので、妻に車で伴走を依頼。「ほっと湯田駅」までだったのが、ほっと湯田駅周辺の錦秋湖が絶景と行っていいほどきれいで、心が和みました。

 調子づいてきたので、錦秋湖の道の駅まで延長してライドすることに。道の駅でリーフと合流して自転車をたたんで積載して帰りました。

 このコースしみじみよかったです。雫石町和賀町を分ける山伏峠を越えたら、もう、ずっと緩やかな下りの一本道がまーっすぐ何キロも続いています。

 信号もなく車もほとんど通らないし、自転車乗りの天国みたいなところ。

 ずっと高速走行しているうちに、「おれって、新城幸也(あらしろゆきや)?」って思った。

 (注 新城選手は日本人でツールドフランスに出場する日本最高峰の自転車ロード選手。去年、タイで激しい合宿しているのを見たことがあって、その雰囲気を思い出した。でも新城選手の半分もスピード出ていないんだけど。)

 実行までに3か月ぐらい計画を練っていたので、また、豪雨で引き返して諦めた日もあったので、完走して大満足です。あんまり、気持ちよく走ったので、30か所以上の見所ポイントをすべてすっ飛ばしてしまいました。何も見なくても、ただただ走ることで喜びを感じさせてくれるすばらしい道。

 

 二戸ライド(自宅から二戸駅 74km 帰りは岩手銀河鉄道

 二戸まで行くつもりなく、奥中山高原駅(十三本木峠=国道4号線の最高標高地点)を目指して出発。なんとか必死こいて奥中山峠を征服し満足に浸りながら、駅前食堂でおばあさんと談笑しながら、昼食をとる。

 町中華でラーメンとカレーを同時に食っている最中、なぜかハッピー感に包まれて不思議な元気がみなぎってきて、たしか、この先は二戸駅までは全線下りだったなと、実力を超えた妄想が。

 その妄想にかられ調子に乗って、そのまま二戸駅を目指したきままな旅でした。

で、行って正解でしたね。盛岡~奥中山高原もよかったですよ。渋民、川口、沼宮内はバイパスを走らず町道を走ると、気分がいいですね。途中、川口で元宝塚女優の銅像を拝むことが出来ました。

 そして、さらに旅の風情がよかったのは一戸町の町内。旧道を走ると幸せ感マックス。やはりバイパスはダメですね。風情がない。そこへいくと、旧道はいい。実にいい。自然に折れ曲がり、川沿いに古い酒屋や衣料品店があって。道が直角に曲がっていたり、供養碑や道しるべの石がまだ残っていて、ほんとうにいいですね。レトロ感たっぷりの感動旅でした。

 二戸駅は新幹線駅なので、近代的ですごく立派でした。自分は在来線の岩手銀河鉄道で帰ってきましたが、自転車を畳んで列車の乗るまでに駅構内をうろうろしていたら、切符を紛失してしまうアクシデントに。親切な駅員さんに、あとで見つかったら、払い戻りできるので、と聞いてもう1枚買って帰ることに。切符をなくすなんて、やはり、想像以上に疲れがたまっていたんだなと反省しながら、列車に乗車。

 

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奥州街道盛岡市玉山地区)から岩手山

 

 三陸海岸ライド(山田町から釜石駅まで45号線を海を見ながら)

  盛岡から宮古まで車で移動。

 ほんとうは宮古駅前から釜石駅までの予定だったのだが、この日は本当に寒くて。途中の区界峠は雪。また、車外温度計は4℃を指していて、気分げんなり。こんな日にチャリこいだら、凍っちゃうよ。

 なんで、こんな日に、自転車旅にきちゃったのかなと後悔しつつ、妻とリーフに乗って宮古駅前到着。遅い昼食を摂ったら、眠くなってもう自転車どころじゃなくなって。

 とにかく寒いから宮古市から15キロ先の山田町まで車で移動することに。するとさすが太平洋の沿岸地域、だんだん暖かくなってきたので、山田町から釜石まで自転車に乗ることにし計画決行。

 妻の伴走があったので、まあ安心して走れました。大槌町がすっかり変わっていたので、驚きました。海をみるとなぜかジーンと来ました。宮城の海育ちなので、心の波長が合うのでしょうね。船越半島がとりわけきれいでした。

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山田町の名所、四十四坂から船越半島を望む

 

 早坂峠ライド(自宅から岩洞湖経由、早坂峠 46km 帰りは車 )

 盛岡市の自宅からワカサギ釣りで有名な岩洞湖までが最難関の場所。獲得標高差が700mぐらいあって、ほとんど気絶状態です。そこを超えると、ソバで有名な薮川(やぶかわ)(本州でも最も寒い地域)を通って、岩洞湖へ。

 なぜか、40名ぐらいの高速自転車集団(おそらく高校生)とすれ違うという珍事発生。自分はソロで走っているので、ほとんどチャリダーと会うことはないので、そんな集団を山中で見た自分にとってはショッキングな出来事。

 次々と降りてくるチャリダー集団(おそらくトレーニング中か、結構ばらけていた。途中と最後にコーチらしき人の伴走車あり)にバカにされないように、必死に登りでスピードを維持するおっさんライダーの私。

 岩洞湖のレストランで有名なラーメン食ったら、それまでのしんなりした気持ち(実力以上の飛ばしすぎ)が、急に元気が出てきたので、そこから延長して早坂峠を目指すことに。

 いつも、「あそこで、やめとけばよかったのに」と思いながらも、道が続いていると、その先はどうなってんだろうと思って、ついつい無茶してしまう性格。

 で、「行けるとこまで行こう!」とそこから妻に電話して、帰りの救援を早坂峠に予約を入れる。2時間後、ほぼ同時に早坂峠に到着。

 岩洞湖から早坂峠区間は、牧場が多く、景色絶景でした。でも、国道からそれて早坂峠への脇道が激坂でつらかった。早坂峠は人でにぎわっているかと思いきや、コロナで無人状態。別にゴール時に拍手されることを期待したわけではないが、無人とは思わなかったです。記念撮影してそそくさと帰りました。

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盛岡市と岩泉町の分岐点 早坂高原

 

 八幡平スキー場往復ライド(自宅から八幡平スキー場まで)

 日曜日の朝、なぜか無性に走りたくなって、目的も決めずに「北へ」と出発した旅。八幡平の観光協会道の駅まで行ってみようと途中で決めて、営業を終えたばかりの八幡平スキー場を通過し、アスピーテラインの入口まで行った。いつか自転車で登ってやると、決意をして、そのまま自転車で帰路に。

 帰りに、「松尾鉱山資料館」にちょこっと寄ったら丁寧に説明してもらって1時間ほど、松尾鉱山の歴史勉強を。自分も歴史好きなので、松尾鉱山の成立と衰退がわかって嬉しかったです。

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宮沢賢治も大好きだった天然記念物「焼け走り溶岩流」と岩手山 

  

姫神山ライド(自宅~姫神山麓好摩駅渋民駅~自宅)

 自宅から姫神山のふもとの空中農道を走り好摩駅まで行き、そこからIGRの駅を渋民駅などを順にたどりながら自宅まで戻ってくるというもの。空中農道というのは自分がつけた名前で、一度車で走った時に、農村風景の美しい標高の高い場所をものすごい立派な農道が通っていて、誰も通らないので、自転車で行ってみようと思っていたのです。行ってみて、車では標高差がわからなかったことを思い知らされ、まあ、アップダウンの連続で、正直来るんじゃなかったと後悔した場所。途中でチャリダーをすれ違ったので、いや、みんなもここ好きなんだと思って気を取り直す。好摩駅前のコンビニで有名なモチ食って、また元気出たので、あとは北上川沿いの岩手銀河鉄道をたどりながら、行ったことのない、文学上有名な「渋民駅」を探訪。渋民駅は、石川啄木で有名です。盛岡に30年以上住んでいて、渋民駅に行ったことがなかったことに気が付き、寄ったんです。啄木はこっから、東京に行ったり、北海道に逃げたりしたのか、と思うと感慨深かったです。

 

秋田街道ライド(自宅~御所湖~道の駅雫石あねっこ~自宅 70km)

 もうね。なんというか、どこかに行きたい気持ちが抑えられなくなるだよね。家にいると。わくわくするというか、言葉で表現しづらいのだけれど。平日の夜は地図ばかり見ているわけ。そして、今度の土曜日は、秋田県田沢湖まで約70キロ走破しようと計画を立てるわけ。で、実際、その通り出発するんだけど、この日は天気も良かったので、46号線(秋田街道、盛岡市田沢湖町を結ぶ)をまっすぐいかず、余裕ぶっこいて、盛岡市内の太田地区から御所湖を回って、46号線に出ようとしました。
が、そこで足を使い果たして、途中の雫石町の道の駅(雫石あねっこ)で断念。断念して、家まで戻る旅となりました。

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雫石町の農道から、秋田駒ケ岳(左)と岩手山(右)

 

 八幡平山岳ルート(アスピーテライン&樹海ライン気絶旅 47km 標高差1000m 、雪の回廊、ドラゴンアイ)

 登りは八幡平観光案内所から、アスピーテラインで秋田県境見返り峠まで、下りは樹海ラインを通って、観光案内所に戻る。距離は47キロ位でしたが、獲得標高差が1000mだったので、山頂付近で一時的に気絶しました。獲得標高1000mってこんなにきついのかと。途中、3回バイクを降りて押しました。傾斜が何%って書いてあったと思うのですが、そんなもの見る余裕もなく。追い越される車に注意しながら、決してフラフラしてセンターライン側に倒れないように(倒れると車にひかれる)、時に立ち乗りしながら、雪の回廊みたさに、漕ぎました。たかだか峠まで17キロなのに。逆に言うとたった17キロの道のりで1000mも標高が上がるってことはとんでもないことだと知りました。車だってつづれ折りの道をローギアでふかしながら登ってきて。ぶつけられるんじゃないかと、その爆音が正直恐怖でした。

 見返り峠に到着し、計画通り、樹海ラインを使って戻ることにしたのは下調べ不足でした。来た道を引き返せばよかった。

 「樹海ラインは降りるだけ」と思っていたら、なんと途中、予定外に2キロほど登りがあって、嘘だろ、と驚きました。しかも、ずっと尾根のところに上りのルートが見えるじゃありませんか。人間ってパニくるものです。実はボトルの水が切れてしまって。脱水状態だったので、下りでも意識が朦朧としていたのに、登りをみたとたん、「登りは無理だ。足はもうのこってない。遭難するかも」と暗い気持ちに。まさか、たまに通る乗用車に「ヘルプミー!」とは言えないしなあ。高い自転車をそこらに捨てて車に乗せてもらうか?などよくないことを考えながらフラフラと。ダメだこのままだと本当に気持ちから最初に遭難してしてしまうと覚悟決めて、もうろうとしながらも自分を励まし、「絶対に助かるから、軽いギアでゆっくり登ろう。いつか下りがやってくるだろう。日が暮れる前につけば、助かるはずだから」と鼓舞しながら、樹海ラインを這うように降りてきました。下りに入っても危なくて、フラフラしているのでしっかりとハンドルを握りスピードを出さずに対向車とすれ違う時にはさらに減速し、なんとか下ってきました。下調べは、ほかのライダーの記録を読んだだけなので、ちゃんと、ルートマップ使って、帰りの標高差とアップダウンも計算しておけばよかったと、大変な勉強になりました。(写真は、有名なアスピーテラインの雪渓と愛車FELT号)

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 区界高原ライド(自宅~盛岡競馬場区界駅~106号線~自宅 74km)

 盛岡市の松園地区の自宅から区界駅まで。獲得標高700m位。これまで自宅から東西南北。そして、その45度方向、つまり、東南東とか、西南西とかをルート探訪していて、残ったのが、この東ルート。いわゆる宮古街道。またの名を106号線。ある土曜日、意を決して出発しました。「意を決した」なんて大げさだけど、この道は車の往来が激しくて、道が狭くて、路肩なんてないので、非常に危ないルートだったので、行くのが嫌だったんです。

 でも、すべての方角を征服すべく、日帰り旅を決行しました。

 自宅から、4号線に出て、茶畑交差点(宮古街道の起点)から入ってもよかったのですが、ルートナビによれば、盛岡競馬場、綱取ダム経由が近道だって言っているので、その通りにしました。それが失敗。

 競馬場までの道でかなりの足の体力を使ってしまいました。次の失敗は、現在道路改良中で高速道路と一般道がつながっていて、どこから自転車に登ればいいかわからないまま出発。それで一般道をずっと行って、近所の人に聞いたら、行き止まりだけど、自転車なら行けんじゃない?と言われ、そのまま7キロほど一般道を侵入。したらば「この先工事中。行き止まり」の表示。しかたなく朝飯のおにぎりをほおばりながら、スマホでルートチェックしたら、戻って「高速道路に登れ」と。高速道路は自転車禁止なのに、と思いながら言われた通りに高速道におそるおそる登っていくと、なんと高速道路に見えたのは、高速道路と高規格道路がつながっていることが判明。高規格道路は、ルール上は一般道なので、自転車通行可能。たしかに、看板に「ここから一般道」の表示あり。往復14キロのロス。高規格道は登ってみれば、自転車にとって最高の道路。アップダウンも少なく、かなりスピードが出ました。最後の飛鳥口(あすかぐち)から、旧道になっていて、そこから激坂。「まあ、いくしかねーべ」と自分に気合を入れて、どんどん、ダンシング(立こぎ)で登るとあっと言う間に、区界峠。拍子抜けしてそこでトイレ休憩だけすませて、一気に盛岡市内に向けてダウンヒル。時速50キロ位でどんどん下る。車が後ろから来ないので、不思議だなと思っていたら、15キロ先の平坦地で路線バスに抜かれて判明。路線バスが後続の車をブロックしていたんですねえ。どうりで気持ちよく20分ほど、ダウンヒルできたはず。来るときは2時間もかかった道も帰りは30分で盛岡市内中心部に到達。そこから自宅へ一路帰路に。

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ようこそ宮古市! 区界道の駅

 

日帰りのロングライドは以上です。日帰りのライドは40km~70kmですが、1~2時間、ひょっこり時間が空いたきは、10km~30kmぐらい市内を走っています。

 

 好きなコースは米内川から浅岸へ出て、肴町から本町通りを経て、緑が丘から松園へ帰るコースです。私の普段の自転車散歩道(約25キロ)です。

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岩手銀行中の橋支店

  以上です。

秋は、北上山地を縦に走るR396号を走って、岩手の山村風景を楽しみたいと思います。冬になったら報告します。