中2 サンシャイン2 プログラム6の号外 不定詞の導入

中2 サンシャイン2 プログラム6の号外 不定詞の導入

 

2021年2月13日(土) 安倍

 

今日は最初に、プログラム6のパート1から3までに学習する不定詞(ふていし)というものについて、できるだけわかりやすく解説したいと思います。

 

不定詞の名前について

 英語の動詞は、主語の影響を受けます。それがいつ起きたのか時間を示すため三単現のsがついたり、過去形になったりします。

よって、今まで学習した動詞を実は「定形動詞」と呼んだりします。(覚えなくていいですよ)

 

 ところが、主語の影響を受けないため、形が定まらない動詞があります。これを不定詞(ふていし)と呼ぶことにしました。こっちは覚えてください。

 漢文で習ったと思いますが、「不」「定」のところを「返り読み」します。

「さだまらず」となります。

 

余談ですが、盛岡の古い地名は「不来方(こずかた)」です。やはり「来」「不」の順に返り読みしています。不来方では、人が来ないということになるので、地名を「盛岡」という勢いのある名前に変更したそうです。

 

不定詞が存在する理由 文を豊かにするため

 前にも言いましたが、英語の文では定形動詞は1回しか使ってはいけません。だから、なにかを表現するときに、「〜は〜しました。」みたいになるわけですが、これでは複雑なことはいえません。

 

例)He went to Canada last year.

   彼は去年、カナダに行った。

 

彼は何をしにいったのでしょうか?気になるところでありますね。

それを別の文で表現してもいいのですが、長くなりますね。

 

例) He went to Canada last year.

    彼は去年、カナダに行った。

 

     He wanted to study music there.

  彼はそこで音楽を勉強したかった。

 

 これを1つの文で表現できませんかね。

でも、時制を表す(定形)動詞は1回しか使えませんよ。

 

そこで登場したのが、不定詞です。

時制を表現しない条件と形を変える条件の2つを守れば1つの文の中で使えるようになりますね。

 

例)He went to Canada last year to study music.

 

 下線部が不定詞と呼ばれるものです。この文にはwentとstudyの2つの動詞がありますが、時制をっ表現しているのはwentだけで、studyは時制を表現していません。そして定形動詞でない証拠にtoをつけています。

 

不定詞の形

 いま説明したように、不定詞は普通の動詞と区別するために原則的に次の形を持っています。

 

 to+動詞の原形

 

 実は、不定詞にはtoがつかない形もあるので、toがついたものをわざわざ「to不定詞」と呼んだりしますが、中学生の皆さんは、不定詞といえばto不定詞だけ学ぶので、当面は「to不定詞」のことを略して、「不定詞」と呼んでOKです。

 

不定詞の訳は3つもある

 今までの文法事項は1つの形に1つの訳で十分でしたね。つまり、1つの形に1つの訳を当てはめればよかった。だから、覚えることはとてもかんたんでした。

 

例)現在進行形の形 「be+ doing」

  現在進行形の訳「〜しているところだ」

 

例)受動態の形 「be+done」

  受動態の訳「〜される」

 

ところが、不定詞は形が「to+動詞の原形」でも、訳は3つあります。

訳が3つあることで、学習上の障害となっています。

 

実は、英文法の中で形が1つなのに、訳が3つもあるのは、「不定詞」と「現在完了形」だけです。

だから、この2つさえ押さえてしまえば、楽勝ということになります。

がんばってください。

できるだけかんたんに説明しますから。

とりえあず、どんどん読んでいってください。

(暗記の仕方は、最後に1行でまとめます!)

 

不定詞の訳は場所で決める

 訳が3つもあるというとびびりますが、あなた方が勝手にその場の思いつきで決める訳ではなく、厳密に訳の決め方があるのです。だから、そのパターンさえ理解してしまえば、実は簡単です。

 

■その前に用語の整理 不定詞と不定詞句

 

例)To play soccer is fun.

 

用語の整理をしましょう。

下線部の中のto playが不定詞と呼ばれるものです。

 

不定詞は、playという動詞をもとにして作っているのですが、結果的に動詞以外の他の役割を果たすようになります。

 

動詞の性質としては、目的語を取ったりすることです。上の文で言えばsocceerがplayの目的語になっています。

 

で、言いたいことは、to playだけでなく、to play soccerで1つの意味のまとまりなのですよ。

よって、今後は不定詞と言ったら、to playだけでなく、まとまりとしてのto play soccer全体を指すことにします。

 

厳密に言うと、to playのことを不定詞、to play soccerのことを不定詞句と呼ぶのですが、私達は文法学者になるために、英語を学んでいるのではないので、厳密さよりも、呼びやすさを優先しましょう。

 

不定詞=to不定詞=不定詞句

みんな同じこと

 

【今後、不定詞と言ったらto doで始まるフレーズ全体を指すことにする。】

 

不定詞の訳の決め方(その1)

 (はじめに断っておきますが、「その3」まで続きます。がんばれ、中学生)

 

不定詞が、その文の中でなくてはならないものだったら、その時は「〜すること」と訳します。

 

なくてはならないもの、とは?

 

例1)To play soccer is fun.

 

上の文で下線部を指で押さえて隠してごらんなさい。

 

is fun.しか残らないので、もう文と呼べません。

ということは、この場合、下線部の不定詞は「なくてはならないもの」だったわけです。

 

次の文をごらんなさい。

 

例2) He went to Canada to study music.

 

上の文で下線部を隠してみると、残りは

He went to Canada.となります。

これは完全に正しい文ですね。

 

すると、同じ不定詞でも、不定詞の部分の果たす役割が違うことがわかります。

 

1 絶対に必要な場合

2 なくてもよい場合

 

ここまでわかりますね。

 

英文を構成する要素を分類すると、

 

1 絶対に必要な要素 => 名詞と動詞

2 なくてもよい要素 => 修飾語

 となります。

 

別の言い方をすると、

「英文とは、名詞と動詞が基本骨格を作り、あとは必要に応じて修飾語を加えている」

とも言っても同じことです。

 

たとえて言えば、

名詞と動詞が骨と筋肉であり、修飾語は洋服みたいなものだ。

となるでしょうか。

 

さて、いよいよ不定詞の訳を決めていきます。

 

例1)To play soccer is fun.

 

英文でなくてはならないものは、「名詞と動詞」です。

じゃあ、下線部は名詞でしょうか?動詞でしょうか?

すでに動詞として、isがあります。

 

定義上、動詞とは時制(現在、過去、未来)を表すものを言います。

だから、下線部は「動詞ではない」ことがわかります。

 

じゃあ、なんでしょう?

もう「名詞と動詞」から「動詞」を引けば、「名詞」が残ります。

そう、下線部は「名詞と同じ働きをしている」といえます。

 

名詞とは、普通は物体のことを指します。

普通の名詞 pen, desk, house, soccer, basketballなど

 

こう拡大解釈するのです。

下線部のTo play soccerは名詞とまったく同じ働きをしている。

 

考え方を広げて、「名詞と同じ働き」という意味で「名詞用法」と名付けよう、

となったのです。

 

結論

to 不定詞が英文でなくてはならない位置にあったら、名詞用法と呼ぶ。

名詞用法の不定詞の日本語訳は「〜すること」と「こと」をつける。

「こと」をつけることで、もともと動詞だったのに名詞らしくなる。

 

例1)To play soccer is fun.

 

「サッカーをする」+「こと」は、楽しい。

 

名詞は、例1のように主語になるだけじゃないんです。

動詞の後ろに来てもいいです。

動詞の後ろに来た場合、名詞が目的語の位置に入ったと言います。

 

I want an apple.

僕はりんごが欲しい。

 

この場合、りんごが目的語です。

wantは、定義上うしろに必ず目的語「〜を」を必要とする動詞です。

だから、空っぽにしてはいけません。

 

I want. これはダメです。

 

ただし、目的語の位置には、名詞なら何がきてもかまいません。

そう、拡大解釈して不定詞を入れてもいいのです。

 

I want to play soccer.

僕は+「サッカーをプレーすること」+を欲する。

欲するなんて、誰もいいませんね。

簡単に言うと、「僕はサッカーをプレーしたい」

もっと簡単に言うと、「僕はサッカーをしたい」

となります。

 

なりますが、to不定詞の名詞用法は「こと」と訳すのが基本であることを覚えておいてください。

 

like(〜が好き)も、名詞をとります。

拡大解釈して不定詞の名詞用法でもいいです。

 

ただの名詞 I like an orange. 僕はみかんが好き。

名詞用法 I like to play soccer.

  「僕はサッカーをプレーすることが好きだ。」

  =「サッカーをプレーするのが好きだ。」

 

 まとめ

別の言い方をして理解を深めたいと思います。

 

to do(to不定詞の別の表現)が主語や目的語の位置にあったら、それは「〜すること」と訳さなきゃいけない。名詞用法だから。

 

こう言ってもいいです。

名詞用法の不定詞は、「〜すること」と訳す。

 

こう言っても同じことです。

不定詞を見つけた場合、それが名詞用法(主語や目的語になっていたら)なら、「〜すること」と「こと」をつける。

 

名詞用法の説明はここまでです。

 

不定詞の訳の決め方(その2)

 

不定詞には、次の2つがあることになりましたね。

 

文の主要素(主語、目的語)になっている場合

=名詞用法

=日本語訳「〜すること」

 

では、もう1つの修飾語の場合はなんと訳すのでしょうか?

 

その前に、修飾語とは何なのかを整理します。

修飾は何を修飾するかで2つに分けます。

 

  • a happy man

   幸せな男

  • He sings a song happily.

   彼は幸せそうに歌を歌った。

 

例1のhappyは名詞manを修飾します。

名詞を修飾するものを形容詞といいます。

 

形容詞の例

happy, tall, small, big, white, など

 

例2のhappilyは動詞singを修飾しています。

動詞を修飾するものを、副詞と言います。

 

副詞の例

1語の副詞 happily, now, yesterday, tomorrow, など

2語以上の副詞 in the morning, at night, under the tableなど

 

では不定詞を見ていきましょう。

I have some friends.

僕には数人の友達がいる。

 

どんな友達でしょうか。遊び仲間、勉強仲間、それとも部活の仲間?

friendを不定詞で修飾したいと思います。

 

英語では、形容詞が1語なら名詞の前に置き、2語以上なら後ろに置くと言う絶対的なルールがあります。

 

例)

1語は前におけ  I have a full basket.

            私は満杯のかごを持っている。

 

2語以上なら後ろにおけ   I have a basket full of flowers.

             私は花でいっぱいのかごを持っている。

 

よって、不定詞も名詞を修飾するなら(つまり形容詞と同じ用法ならってこと)、後ろに置きます。

 

例) I have some friends to play with.

 

不定詞が名詞を修飾する場合も形容詞と同じ働きしているので、「形容詞用法」と言います。

形容詞用法の不定詞は「訳しません」。

えっ?ってなるかも知れませんが、ただくっつけるだけで修飾できますから、特に日本語を挟まないとうことです。

 

I have some friends.

僕には友達がいる。

 

I have some friends to play with.

僕には「一緒に遊ぶ」+「友達」がいる。

 

よく確認してください。何か日本語が挟んでありますか?

ないですよね。

そう、形容詞用法はただくっつけるだけで、修飾できます。

 

【まとめ】

不定詞が名詞の後ろにあって、その名詞を修飾していたら、形容詞用法と呼ぶ。

例) 名詞+to do

 

形容詞用法のto不定詞は一般に訳さない。

訳さないで名詞の前にただ入れるだけでよい。

 

friends to talk with

一緒に話す+ともだち

 

something to eat

食べる+なにか -> なにか食べるもの

 

housework to do today

今日やる+宿題

 

dishes to wash now

今洗う+皿 -> 今洗わなきゃいけない皿

 

letters to write now

今書く+手紙

 

a lot of thigs to learn

学ぶ+たくさんのこと -> たくさんの学ぶべきこと

 

不定詞の意味の決め方(その3)

 (これで最後です)

 

先ほど修飾には2つのやり方があることを言いました。

 1 形容詞 名詞を修飾する単語のこと

 2 副詞 動詞を修飾するする単語のこと

 

それで、不定詞の形容詞用法については、すでに説明しました。

 

それでは、最後の用法について説明します。

それは、不定詞が文の後ろの置かれている場合、副詞用法と言います。

副詞用法とはどんな位置に置かれ、どんな訳になるのでしょうか?

 

例1)He went to Canada.

   彼はカナダに行った。

 

まったく正しい文ですね。

この正しい文の文尾に不定詞をつけてみます。

 

例2)He went to Canada to study music.

 

すると、下線部の不定詞はあとから足したものなので、

あってもなくてもよい修飾語です。

 

それでは直前のカナダを修飾するのでしょうか?

「音楽を勉強するカナダ」となり、意味が変です。

(カナダって人が音楽を勉強することになりますよ。)

したがって、形容詞用法ではありません。

 

修飾語は2つしかないので、あとは副詞と同じ働きかどうか調べればいいわけです。

 

副詞とは動詞を修飾しますから、おそらくwent「行った」を修飾しなければなりません。

 

「音楽を勉強する」+「ために」+「行った」とすれば、つながります。

 

いきなりやっちゃいましたが、ここでのポイントは「ために」と入れないと動詞を修飾できません。

 

この「〜するために」という目的を表す意味が副詞用法の意味です。

置かれる場所は、文の後ろに置かれます。

 

まとめ

不定詞のうち、文尾に置かれるものを副詞用法と言う。

副詞用法は「目的」の意味なので、日本語にするときには、「〜するために」をつける。

 

例)

I went to Osaka to see my uncle.

 僕は+おじさんに会うために+大阪に行った。

 

文尾に置かれています。

大阪を修飾していないようです。

だって、「おじさんに会う大阪」というのも変です。

 

では、動詞wentを修飾するのでしょうか?

副詞用法に切り替えてみます。

「おじさんに会う」+「ために」+「大阪に行った」

 

いいですね。

 

【総まとめ】

to doというtoに動詞の原形をつけた形を「to不定詞」または、略して「不定詞」と言う。

不定詞には3つの大事な意味がある。

3つのどの意味になるかは、「置かれた位置」で決まる。

別の言い方をすると、パターンで決まる。ってことです。

あなたが、いちいち考え込む必要はないのです。

 

1 名詞用法

不定詞が主語や目的語になっていたら

=動詞の前か後ろになっていたら

名詞用法と呼ぶ

日本語訳には「こと」をつける

 

To play basketball is fun.

「バスケットをする」+「こと」+「は」+「楽しい」。

※主語なので、主語のしるしの「は」を入れました。

 

2 形容詞用法

不定詞が名詞のあとに置かれて、その名詞を修飾していたら

形容詞用法と呼ぶ

日本語訳は、原則なにもつけずにただ後ろから足せばよい

 

homework to do today

「今日する」+「宿題」

 

3 文の後ろに置かれていたら

(しかも直前の名詞を修飾していない場合)

副詞用法と呼び、かなり前の方にある動詞を修飾する

日本語訳にするときは、目的の意味が出るように「〜するために」と「ため」をつける

 

He went to India to study music.

彼は+音楽を勉強するために+インドに行った。

※このように「ために」のフレーズは動詞よりも最初に訳します。

 

以上です。

 

おまけ

【もっともシンプルな覚え方】

一行で覚えたい人は、

不定詞は、名形副。「こと・する・ため」」と暗記してくださいな。

 

つけたし。

今、学んだ不定詞の三用法は基本ですが、他に特別な用法があります。

特別と言ってもたいしたことありません。

もう決まりきっているから、熟語と言ってもよいでしょう。

 

それは、「感情語+to不定詞」です。

感情を表す語の後ろに不定詞がついていたら、

それは「その感情の原因となった動作を表すので、『〜して』と訳します。」

 

感情語とは、次のようなものです。

 

うれしい happy, glad, pleased

悲しい sorry

むかつく mad, crazy, angry

興奮する be excited

 

これにto不定詞を足しますと、

 

Tom was happy to see his girlfriend.

トムは+「ガールフレンドに会えて」+嬉しい。

 

Tom got angry to see the picture.

トムは+「その写真を見て」+怒った。

 

 

このように、どうしてそのような感情になったか、という原因となる動作を示します。

よって、「〜して」と訳します。

 

この「感情の原因を表す不定詞」は、一応、副詞用法の仲間に入れられています。

といのも、なくてもよいからです。つまり修飾語だからです。

しかも前にある名詞を修飾してるわけでもない。

だから、副詞用法といえば、「目的」と決まっているところに、無理やり入れました。

だめねえ、文法学者さんたち。

これじゃ、生徒さんが迷うじゃない。(笑(

 

入れられていますが、「〜して」と訳す状況は、はっきりしているので、わざわざ「副詞用法」と覚えなくてもいいでしょう。と文法学者よりも偉い安倍は言い切ります。(笑)

 

むしろ、「感情の後ろのtoは、その原因だから『〜して』だ。」とおぼえておくと便利です。

 

小さなまとめ

特別ルール [感情語+to do] 

その場合のtoはちっちゃいけれども「〜して」と原因らしく訳す。

 

ほんとうに、これでto不定詞を終わります。

 お疲れ様でした。