中2英語教科書 サンシャイン プログラム7 パート1 動名詞の解説

プログラム7 パート1 動名詞の導入 文法解説と重要語句解説

 

2021年2月18日 安倍

 

■このパート1で学ぶこと

動名詞(どうめいし)

 

■ 動詞にingをつけた形には、実は2つあるという話から

 

動詞にingをつけるとing形ができますが、働きによって2つに別れます。

 

形は1つ。

例)play+ing=playing

 でも、これだけでは、訳しようがない。

だって、2つ働きがあるから。

働きは文中の使われ方で決まる。

 

1つは「現在分詞」、もう1つは今回習う「動名詞」というものです。

 

1 現在分詞

現在分詞は、さらに2つの働きを持ちます。

持ちますが、前者は無視、後者だけ意識してください。

 

1つは、be動詞と現在分詞で、進行形ができます。

例) He is playing the guitar.

  彼はギターを引いているところです。

 

でも、これはいつもそんなに重要ではありません。

現在分詞なんて意識していなくても、これまでに「be+動詞のing形」で進行形と学んできました。

 

もう1つは、名詞に前後に置かれると、その名詞を修飾する働きを持ちます。

例) a swimming boy

    泳いでいる少年

 

 こっちの用法は大事です。

英語が読めるかどうかの分かれ道になります。

 

意味は進行形のように「〜している」と訳します。

例) a dancing girl

   踊っている少女

 

■ 次はいよいよこのプログラムで習う「動名詞」の解説です。

 

動名詞(どうめいし)とは、動詞から作った名詞という意味です。

なんか、安直な名前ですね。

動詞から作っているのに、ingをつけただけで働きもすっかり「名詞」です。

だから訳は「〜すること」と訳します。

 

例)

learning English 英語を学ぶ「こと」

 

この場合、learningは現在分詞ではありません。

意味で区別します。

もし現在分詞なら「教えている英語」になり、意味として不適格です。

だから、動名詞「〜すること」と訳す。

 

teaching Japanese to children 子どもたちに日本語を教えること

 

この場合もteachingは現在分詞ではありません。

現在分詞と判断すると、意味が「教えている日本語」という意味ができあがり、意味として不適格です。

だから、動名詞です。

「〜すること」なら意味がフィットします。

 

■現在分詞と動名詞の見分け方

 

 

分詞とは、動詞と形容詞の性質を「半分ずつ分けて持つ」ということで「分詞」とつけられました。つまり、分詞のいちばん大事な用法は、形容詞と同じように名詞を修飾することです。

 

※分詞とは、動詞から作った形容詞のこと

例) a swimming boy  「泳いでいる」少年

swimmingはboyを修飾する。

 

動名詞とは、動詞から作った名詞のことです。

例) swimming in the river 「川を泳ぐこと」

swimmingはinを修飾しません。

swimming〜riverまで、全体として名詞の働きをします。

 

似ているように見えますが、

分詞は常に名詞の前後に置かれて「〜している・・・」と修飾します。

 

一方、動名詞は、名詞の振る舞いをするので、かならず文の主要素になります。

文の主要素になるとは、主語、目的語の位置に入るということです。

分詞が主語や目的語の位置に入ることはできません。

 

■ 動名詞は文中でどこに入るか?

 

例)主語になっている例

  Swimming in the river is fun.

  その川を泳ぐことは難しい

 

例) 目的語になっている例

  I like swimming in the river.

    僕は「その川を泳ぐこと」が好きだ。

 

※ただし、「もともと動詞から作って他の働きをするようになった」という点では同じなので、同じ動詞という親から生まれた子供みたいなものです。

 

したがって、分詞も動名詞も動詞から作られて、まだ半分、動詞の働きを持っているということで「準動詞」と名付けます。

 

なお、前のプログラムで学んだ不定詞も動詞にtoをつけて作っているので、準動詞といえます。

 

動詞から作られて他の品詞の働きをする3兄弟

 長男 不定詞  

 次男 分詞  

 3男 動名詞

 

動名詞のまとめ

動名詞の形 動詞+ing

動名詞の意味 「〜すること」

動名詞を含んだ全体のフレーズは、いつも主語や、目的語になる。

 

■準動詞のまとめ

動詞をもとにして作ったのに、いつのまにか他の品詞の働きをするようになった三兄弟をまとめて置きます。

 

番号  名前  形       働き

1   不定詞 to do        名詞と同じ働き 形容詞と同じ働き 副詞と同じ働き

2   分詞   doing 現在分詞    形容詞と同じ働き

         done 過去分詞       

3   動名詞 doing                名詞と同じ働き

 

■働きが同じでもちょっとした違いがある話

上の表で、働きが同じ箇所が2箇所あった。

1つは、「名詞と同じ働きをする」不定詞と動名詞だ。

2つ目は、形容詞と同じ働きをする「不定詞」と「分詞」だ。

 

■2つ目から話をしよう。

不定詞と分詞は、働きが同じでも意味のニュアンスが違うので、きちんと使い分けること。

 

不定詞は「(一部始終)〜する・・・」という意味だ。

例) homewok to do today 今日する宿題

 

現在分詞は、「〜している・・・」という進行形みたいな意味だ。

例) a talking lady おしゃべりをしているご婦人

 

過去分詞は、受動態みたいに「〜された・・・」という意味だ。

例) a broken window  壊された窓

 

■名詞用法の不定詞と動名詞は同じことだ

不定詞の名詞用法は「〜すること」と動名詞「〜すること」は、基本的には同じ意味。

だから、取り替えて使ってよい、と理解しよう。
(中学生には関係のないレベルで、実はほんの少しだけ違うのだけれど、今は無視)

 

■働きが同じなので、不定詞と動名詞は取り替えて使ってよい。

 

例)主語になる場合

To finish this job is difficult.

Finishing this job is difficult.

この仕事を終える「こと」は、難しい。

 

例) 目的語になる場合

I like to play tennis.

I like playing tennis.

僕はテニスをする「こと」が好きだ。

 

不定詞と動名詞は取り替えて使ってよいはずなのにダメが場合がある。

 

上で見たように、不定詞と動名詞は取り替えてよい。

どちらも「〜すること」という名詞の働きをするからだ。

どちらも主語に使っても、目的語に使ってもよい。

そして、どこに使おうと意味に変化はない。

 

動詞の後ろの名詞のことを目的語と言うのだが、

本来、目的語には、名詞、動名詞不定詞どれでもよいはずだ。

 

例) どれでもよい実例

名詞 I like an apple.       appleは名詞

動名詞 I like studying English.  studying Englishは動名詞

不定詞 I like to study English  to study Englishは不定

 

ところが、英語の動詞にはちょっとした癖があって、後ろに

1 不定詞だけを取る動詞  

want to, hope to(want doing, hope doingとはいわない)

 

2 動名詞だけを取る動詞  

stop doing, finish doing, enjoy doing

(stop to do, finish to do, enjoy to doとは言えない)

   

3 両方取るし、意味も変わらない動詞

like to do, like doing どっちをとっても同じ意味。

〜することが好き

 

4 両方取るが、どっちを取るかで動詞の意味が変わってしまう動詞

forget to do  「未来に〜しようとすること」を忘れる

forget doing  「過去にもう〜してしまったこと」を忘れる

  ※forgetの意味が変わるのではなく、to do, doingの部分が変わってしまう。

 

の4種類に分類される。

 

動名詞だけしか取れない動詞に要注意

 

動名詞とはどんなものか、どんな働きをするかはわかったと思う。

最後に、動名詞しか取れない動詞は暗記してしまわなければならない。

どう暗記するかと言うと、意味と一緒に形をセットで覚えること。

教科書に出てくるものを紹介しよう。

数はそんなに多くないので、中学生は次の3個だけ要注意していればよい。

 

〜することを楽しむ  enjoy doing

〜することを止める  stop doing

〜することを終える  finish doing

この3つだけでよろしいです。

(高校に入ると、あと5つ追加するだけです。)

 

あの〜。わたしなんか、小難しい理屈を述べているような印象を与えているかも知れませんが、ちゃんと教科書で70ページで解説していることですからね。

教科書はわざと目立たないように小さな文字で、私はしっかり理解して欲しいので、何度も繰り返し述べているだけです。

 

不定詞だけしか取れない動詞にもちょっと注意しておこう

 

実は不定詞だけしか取れない動詞は結構数が多いんですよ。

 

でも中学生は、なんとなく「未来に向かって心の動きを表す動詞」とおぼえておくとよいでしょう。というのも、実は不定詞と動名詞は同じだと言ったんですが、微妙に違うところがあって、不定詞のtoというのは、もともと前置詞のto(〜の方向へ)から発展したものなので、「未来を志向する」動詞とくっつきやすいのです。

 

(心の動詞)

want to do   〜したい

hope to do  〜することを希望する

expect to do  〜することを期待する

 

■どっちでもいいものにもすこしだけ注意

教科書にどっちもOKな動詞が忍ばせてあるので、しっかり意識しよう。

like to do, like doing 〜することが好き

start to do, start doing 〜し始める

begin to do, begin doing 〜し始める

 

■おまけ 前置詞の次は絶対に動名詞を入れる!

 

省略しようと思っていたのですが、教科書70ページにちゃんと書いているので、解説しなくてはなりません。

 

まとめながら書いて行きます。

 

不定詞の名詞用法の意味は「〜すること」

動名詞は名詞用法しかもたない 意味は「〜すること」

 

普段は交換してもよいのだけれど、

動名詞しか入れない場所が2箇所あるから、要注意

 

1箇所目

1つは、動名詞だけを従える動詞 finish, enjoy, stopの3つ。

頭文字をとってFES(フェス)と覚えよう。

動名詞を取る動詞は、お祭りfes(tival)だ。」みたいに。

 

2箇所目

もう1つは前置詞の後ろの位置。

この位置も前置詞の目的語と言います。

 

例)with you 君と一緒に

withが前置詞で、youがwithの後ろにあるから「withの目的語」になっている、というよ。

 

さて、目的語は名詞ならなんでもいいはずなんだけど、不定詞はいれちゃいけない。

動名詞だけ入れてよい。

 

withoutという前置詞があるよ。

意味は「〜なしで」という意味だ。

 

名詞の例)

君なしで  without you

 

動詞の例)

さよならを言うことなしで

=さよならも言わずに

 

without saying good-byeはOK

without to say good-byeはダメ。そうは絶対に言わないし、言えない。

 

これもなぜか?を聞くとすぐに理解できるよ。

さっき、to不定詞のtoって、数百年前までは、動詞につく不定詞じゃなくて、「〜の方角へ」という方向を表す前置詞だったんだ。「to+名詞」という前置詞から発達して、「to+動詞」という不定詞になったんだ。

 

英語の大事なルールに、前置詞は2つ並べて使ってはダメよ。というルールがある。

2個連続すると、どっちがどっちでわからなくなっちゃうからだ。(多少の例外あり)

 

例)

I went to from Tokyo. 「私は東京へ、から行った。」

これじゃ、わからなくなっちゃうよね。

だから、「前置詞と名詞は1つずつくっつける」という暗黙のルールがある。

to Tokyo 東京へ

from Tokyo 東京から

とはっきりさせなくちゃいけない。

 

前置詞withoutと(もとは前置詞だった)不定詞のtoが、つながって見えるから混乱のもとになるので、前置詞は入れないで、動名詞だけ入れるようになった。混乱がないからね。

 

だから、教科書のこんな例文が載っているよ。

Thank you for coming to my birthday party.

僕の誕生会に来てくれた「こと」に対して君に感謝を言うよ。

(簡単に言うと、「誕生会に来てくれてありがとう」となるよ)

 

下線部の部分は動名詞だ。

forの次にはいるから、絶対に動名詞にしなくっちゃいけない。

絶対に不定詞を入れちゃダメだ。

 

これを学校では普通、

「〜のことは、ありがとう」は、「Thank you for 名詞」って言うか、または「Thank you for doing」って動詞を入れたかったら、doingにして入れてね。と教える。

結論だけ教えることは悪いことじゃない。すっきりして気持ちのいいものだよ。

 

だけど、理屈(=基礎的英文法)を知らないと応用がきかない。

1 He went out without (say) good-bye.

2 He is looking forward to (see) you.

どちらも入試問題で問われる基本問題だけど、「前置詞の次は動名詞」と知っていれば、正解がsayingとseeingとわかる。特に2の文のtoは「方向を表す前置詞」だからね。to不定詞のtoじゃないんだ。だから、両方の問題が統一的に説明されるし、覚えやすい。

 これをその場しのぎで、「これとこれは、理屈抜きで暗記ね」と言われると、覚えることが多すぎて、英語がいやになっちゃうよね。

 

終わりにします。

 

2行でまとめます。

動名詞(doing)は、「〜すること」という意味。

動名詞しか取らないFES動詞と前置詞に気をつけろ!