いや~。 素晴らしい本でした。出会ってよかった。
著者の小曽戸先生にファンレターを送りたいくらいです。
実は、最近、東洋医学の歴史を知りたくて、いろいろ探していて、手あたり次第に読んでいるうちに出会いました。(理由は後述)
神農伝説(農耕を人類にもたらしたと言われる伝説上の人物)や、「傷寒論(しょうかんろん)」、「黄帝大経(こうていだいけい)」といった古代の書物が、なぜ2000年以上も経た現代に残っているのか、なぜそうした聖典に準拠した針やお灸、漢方、整体などが西洋医学が全盛のこの時代に命脈を保っているのか?それが不思議でなりませんでした。
また、ある本で、「古代中国で生まれた中医学だが、古代の書籍はほとんど失われ、逆に遣唐使などを通じて日本にもたらされた書籍が中国に逆輸入されている」言っていて、「ほんまかいな?」と思っていたのです。
この本は私のいやしい疑問をずばり解決してくれました。古代日本は、命がけで医学書を守ってきたのですね。
ほかにもたくさんの目からうろこが落ちる話があって、中国で紀元前の墓から漢方の本が出てきた話(しかも最近の話)や、明治時代の西洋医学の導入(=中医学の没落)や、昭和、平成の漢方の復興までを説明してくれています。
さらに、自分のようにコトバにこだわる人間にとっては、「傷寒論」「黄帝大経」「中医学」「漢方」「和方」「洋方(西洋医学)」などのコトバの説明があって、とても納得のいく本でした。さすが、名著と呼ばれる所以ですね。
そして、小曽戸(こそと)先生自身が医学博士で医療に通じ、また文献考証学の大家で、いろんな俗説を「それは間違いです」とか、「それは俗説です」とか、はっきりと言ってくれるところに感銘を受けました。誰かの受け売りでなく、しっかりとした学術調査の裏付けがありながら、一般市民に分かりやすく、時々楽しいエピソードも入れながら、3000年の通史を書かれている姿に敬意と親しみを感じました。
ほんとうに素晴らしい本ですよ。一読をお勧めします。
最後に。自分が東洋医学に興味を持った理由を書いておきます。
3か月前に右足がしびれて、動けなくなりました。朝、激痛で目が覚めます。びっこになりました。
たまらず、休みをとって脳外科(西洋医学)に行ったのですが、たまたま病院が休診だったために、その日しか休めない自分は、近所の整体院(東洋医学)に行きました。
そこで、(刺さない)針とマッサージと電気治療を受けました。
その針治療は、「チクチク療法」と言って、皮膚を突き刺さない針治療でした。で、自分でもできるので、本を買って調べました。そこで、安保(あぼ)・福田理論という免疫理論と経絡(けいらく)の存在を知り、驚愕したのです。
「それ何???」って感じで、今まで気になっていた東洋医学をかたっぱしから調べ始めたという訳です。
今は、自分の顔や頭、指のツボに針を毎日、刺しています。